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東京地方裁判所 昭和59年(ワ)8331号 判決 1987年1月22日

原告 株式会社清峰堂

右代表者代表取締役 富本義男

原告 拓建こと 法堂寛子

右両名訴訟代理人弁護士 東徹

同 太田孝久

被告 木元不動産株式会社

右代表者代表取締役 木元隆

被告 東武ハウス工業株式会社

右代表者代表取締役 市原敏治

右両名訴訟代理人弁護士 田中耕輔

右両名訴訟復代理人弁護士 中山知行

主文

一、原告らの請求をいずれも棄却する。

二、訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、請求の趣旨

1. 被告らは、原告らに対し、連帯して金三九〇〇万円及びこれに対する昭和五八年一一月五日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

2. 訴訟費用は被告らの負担とする。

3. 仮執行宣言

二、請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二、当事者の主張

一、請求原因

1. 当事者

原告ら及び被告らは、いずれも不動産の売買及び仲介を主たる業とするもので、宅地建物取引業者であり、原告株式会社清峰堂(以下「原告清峰堂」という。)及び被告らは株式会社である。

2. 仲介契約の成立

(一)  原告清峰堂は、別紙物件目録記載の各土地(以下「本件土地」という。)が売りに出されるとの情報を入手し、昭和五八年九月二四日ころ、右情報を左記のとおり被告木元不動産株式会社(以下「被告木元」という。)に対し提供したところ、そのおよそ二日後に、被告木元から、原告清峰堂に対し、右本件土地購入の仲介をして欲しい旨の申出があり、同日、右両者間に本件土地売買の仲介契約が成立した。

(1) 本件土地所有者(すなわち売主)は訴外株式会社都市企画設計(以下「訴外都市企画」という。)であること。

(2) 売却希望価格は坪当たり金二七〇〇万円、合計金一〇億六七五八万円であること。

(3) 売主側仲介者は訴外住友商事株式会社(以下「訴外住友商事」という。)であること。

(二)  原告清峰堂は、同年九月二八日、原告拓建こと法堂寛子(以下「原告拓建」という。)に対し、本件土地売買の仲介について協力を要請し、その際、被告木元もその旨了承したので、同日、原告拓建と被告告木元との間にも右(一)と同様の契約が成立した。

(三)  被告木元は、同年一〇月一二日、原告らに対し、本件土地購入に関しては、被告東武ハウス工業株式会社(以下「被告東武」という。)が共同事業者となる旨紹介し、原告らはその旨了承したので、同日、原告らと被告東武との間にも右(一)と同様の契約が成立した。

以上(一)ないし(三)の契約を総称して、以下、本件仲介契約ということとする。

(四)  また、その後訴外都市企画は本件土地を訴外サムエンタープライズ株式会社(以下「訴外サム」という。)に譲渡したため、本件土地の売主は替わったが、原告らと被告らとの間における本件仲介契約は継続していたものである。

仮に右主張が認められないとしても、原告らは、右売主の交替後も被告らからの依頼に基づいて本件売買交渉に関与し、同年一〇月一四日には、訴外サムの事務所で被告らと共に訴外サムの代表者である訴外盛田正敏(以下「訴外盛田」という。)と会見したほか、情報の提供や連絡等の重要な仲介行為を行ったのであるから、原告らと被告らとの間で改めて仲介契約が成立したものというべきである。

3. 仲介行為の実行

原告らは、被告らの本件土地購入のため、同年九月二四日から同年一〇月一九日ころまでの間、売り情報の提供、売主側仲介業者らの紹介、売買についての話合い、協議への参画等、様々な仲介行為を行った。なお、同年九月二八日、同年一〇月三日、同月四日、同月一二日、同月一四日(原告拓建不参加)、同月一九日(原告清峰堂不参加)には、現に、売主側仲介者及び被告らと共に本件売買に関し会合を持った。

4. 売買契約の成立

被告らは、同年一一月四日、訴外サムから、本件土地を被告東武名義で、代金一三億円余りで買い受けた(以下「本件売買」という。)が、

(一)  右本件売買の成立は、原告らの仲介行為によるものである。

(二)  仮に、本件売買の成立と原告らの仲介行為の間には、相当因果関係がないとしても、被告らは、本件仲介契約が存在するにもかかわらず、原告らに対し、金額的な折り合いをつけるため、しばらく冷却期間を置きたいから仲介業者は動かないでほしい旨指示する一方、原告らを除いて、一方的に直接、訴外サムとの間に本件売買を成立させたものであり、右行為は、故意に原告らの仲介による売買成立を妨害したものと評価すべきであるから、民法一三〇条の法意が類推適用されるべきである。

5. 本件仲介契約に基づく仲介報酬は、黙示の合意又は慣習により、宅地建物取引業法四六条一項、建設省告示一五五二号に基づき、本件売買代金一三億円の三パーセントである金三九〇〇万円となる。

よって、原告らは、被告らに対し、本件仲介契約に基づき、連帯して報酬金三九〇〇万円及びこれに対する本件売買成立の日の翌日である昭和五八年一一月五日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二、請求原因に対する認否

1. 請求原因1の事実のうち、被告らに関する部分は認め、その余の事実は不知。

2.(一) 同2(一)の事実は認める。

(二) 同2(二)、(三)の各事実は否認する。原告拓建及び被告東武は、本件仲介契約上の当事者とはなっていない。

(三) 同2(四)の事実のうち訴外都市企画が本件土地を訴外サムに譲渡したため、本件土地の売主が替わったことは認め、その余の事実は否認する。

3. 同3の事実のうち、原告ら主張のころ、原告清峰堂から被告木元が本件土地の売り情報の提供を受け、売主訴外都市企画側の仲介業者らを紹介されたこと、原、被告関係者らが昭和五八年九月二八日、同年一〇月三日、同月四日、及び同月一二日に本件土地売買に関し会合を持ったことは認め、その余の事実は否認する。

4. 同4冒頭の事実は認める。同4(一)、(二)の事実はすべて否認する。

なお、被告らが訴外サムから本件土地を買い受けた経緯は次のとおりである。

(一)  本件においては、交渉の過程において、売買契約における最も重大な要素というべき売主が変わったことにより、従前の原告清峰堂による仲介行為は事実上無に帰し、被告らは、新所有者訴外サムと、全く新たに本件土地売却の意思の打診の段階から交渉を開始して、本件売買を成立させたものである。

(二)  被告らは、不当な利益を得るために、原告らを排除して、売主と直接、売買契約を成立させたものではなく、前記本件土地所有者の変更に伴い、責任を感じた旧所有者訴外都市企画側の仲介業者訴外住友商事より、新所有者訴外サムの紹介を受けたことから、再度、新たに交渉を開始して、高価ではあったが後記(三)記載の事情もあって、やむなく、本件売買を成立させたものである(現に本件売買価格は、当初の被告らの購入希望価格より坪当たり約金五八〇万円も高値になっている。)。

(三)  被告らは、昭和五八年一〇月一日の段階で、既に、訴外東洋不動産株式会社(以下「訴外東洋」という。)から、本件土地につき坪当たり金三〇〇〇万円で転売をうけてもよい旨の内諾を取りつけていた。しかも右転売計画においては、本件土地の隣接地(面積四〇一・七六平方メートル)も合わせて一括売却することになっており、右隣接地については、既に同年一〇月四日、被告らが所有権を取得することに成功していた。

よって、被告らは、右訴外東洋に対する信用問題もあり、たとえ高額であっても、本件土地を購入せざるを得なかったものである。

(四)  そもそも、本来被告らが訴外都市企画から希望価格で本件土地を買い受けることができなかったのは、仲介業者である原告らの不手際によるものと解すべきであるから、被告らとしては、訴外サムとの本件売買に関して、右仲介の不手際により被告らを窮状に追い込んだ原告らに対して、再度、本件土地の購入仲介を依頼するつもりは全くなかったし、また、そのような原告らに仲介を依頼しなければならない義務も何ら存在しない。

以上の事実によれば、被告らが、直接本件売買を成立させたとしても、それには、やむを得ない合理的理由が存在したものというべきであり、何ら商取引の信義に反するものではない。

5. 同5の事実は否認する。

三、抗弁

1. 本件仲介契約の失効

本件仲介契約は、単に本件土地の購入仲介を依頼するにとどまるものではなく、請求原因2(一)(1)ないし(3)記載の情報が、本件仲介契約の要件となっていたものであり、よって、本件仲介契約は、売主を訴外都市企画、売却及び購入希望価格を坪当たり金二七〇〇万円とした上で成立したものであるが、訴外都市企画は、昭和五八年一〇月七日ころ、本件土地を訴外サムに譲渡し、さらに、その後の被告らと訴外サムとの交渉において、訴外サムは、本件土地を坪当たり金二七〇〇万円では売却するつもりがない(実際の本件売買の成立価格も坪当たり約金三二八〇万円であった。)旨明言したのであるから、被告木元が前記価格で、本件土地を購入することは客観的に不可能になり、したがって、本件仲介契約は当然に履行不能によって失効したものと言うべきであり、原告らには本件仲介契約に基づく報酬請求権はない。

2. 解除

被告木元は、昭和五八年一〇月一二、三日ころ、訴外住友商事から本件土地の所有権が訴外都市企画から訴外サムに移転した旨の報告を受けた際、原告清峰堂に対し、今後の本件土地の売買に原告らが関与することを拒否し、本件仲介契約を解除する旨の意思表示をした。

3. 報酬按分による減額

本件土地の売買については、仲介業者は原告らのみにとどまらず、そのほかに、訴外五条興産、東京シネ・リサーチ、三善地所、日豊工営及び住友商事も仲介に関与しているのであるから、原告らが取得できる報酬額は仲介に尽力した度合いに応じて按分された額に限られる。

なお少くとも原告拓建については、仲介に尽力した度合いから考えて、その報酬額はゼロに等しい。

4. 相殺

(一)  被告らは、原告らに対し、本件仲介契約上の債務不履行(請求原因に対する認否4(四)参照)に基づき二億三二四二万円(訴外都市企画との間の予定購入価格一〇億六七五八万円と訴外サムとの間の現実購入価格一三億円との差額金)の損害賠償請求権を有する。

(二)  被告らは、原告らに対し、昭和六一年七月一七日、第一三回口頭弁論期日において、仮に原告らに本件仲介報酬請求権が認められるならば、右報酬請求権と前記損害賠償請求権をその対当額において相殺する旨の意思表示をした。

四、抗弁に対する認否

1. 抗弁1の事実のうち、訴外都市企画が本件土地を訴外サムに譲渡したこと及び本件売買の成立価格は認め、その余の事実は否認ないし争う。

なお、右抗弁は、本件土地の所有者(売主)に変更があったことをその前提としているが、訴外サムは、訴外都市企画の融資元であって、両者は一体と評価すべきであり、売買価格をつり上げるために、単に、形式的に、本件土地の所有名義を訴外サムへと変更したにすぎない。

よって、右名義変更は、本件仲介契約の存続等に何ら影響を及ぼさない。

2. 同2の事実は否認する。

3. 同3の事実のうち、被告ら主張の各社が本件土地売買の仲介に関与していたことは認め、その余は争う。

4. 同4(一)の事実は否認する。

第三、証拠<省略>

理由

一、請求原因1(当事者)の事実のうち、被告らに関する部分は当事者間に争いがなく、その余の部分は証人友田治夫の証言及び弁論の全趣旨によりこれを認めることができる。

同2(仲介契約の成立)(一)の事実、すなわち、原告清峰堂と被告木元との間で本件仲介契約が成立したことは当事者間に争いがなく、また、右契約の当初の内容として、原告が、請求原因2(一)(1)ないし(3)のような各情報(売主は訴外都市企画、売却希望価格は坪当たり金二七〇〇万円、売主側仲介者は訴外住友商事)を提供したこと自体は、原告らもまたこれを認めているところである。

次に同2(二)、(三)の事実について検討するに、原告ら及び被告らの担当者が、本件土地売買について何度か同席して話し合ったことがあることは当事者間に争いがないが、右事実のみをもって、直ちに右当事者間に法的拘束力を有する仲介契約が締結されたものと認めることはできず、これは、相手方から共同事業者である旨の紹介を受けた場合においても同様であり、その他原告拓建と被告木元、及び原告清峰堂、同拓建と被告東武との間にそれぞれ本件仲介契約が直接成立したと認めるに足る証拠は、存在しない。

よって原告清峰堂の被告東武に対する請求及び原告拓建の被告らに対する各請求は、その余の点について検討するまでもなく失当である。

二、そこで以下、原告清峰堂の被告木元に対する請求に関して、同2(四)(仲介契約の継続等)、同3(仲介行為の実行)及び同4(売買契約の成立)について検討する。

1. まず、本件売買の成立が原告清峰堂の仲介行為によるものであるか否か(原告清峰堂の仲介行為と本件売買契約成立との間の相当因果関係の存否)について判断する。

昭和五八年九月二四日ころ、原告清峰堂から被告木元が本件土地の売り情報の提供を受け、その後、売主訴外都市企画側の仲介業者らを紹介されたこと、原、被告関係者らが同年九月二八日、一〇月三日、同月四日、同月一二日ころ、それぞれ本件土地購入に関し会合を持ったこと、その間、同月七日ころ訴外都市企画は本件土地を訴外サムに譲渡したこと、被告らが同年一一月四日、本件土地を金一三億円(坪当たり約金三二八〇万円)で買い受けたことは当事者間に争いがない。また、本件仲介契約の当初の内容として売主は訴外都市企画、売却希望価格は坪当たり金二七〇〇万円との情報の提供があったことは、前述のとおりである。

しかし、証人南条隆正及び同盛田正敏の各証言並びに被告木元代表者木元隆の尋問の結果によれば、同年一〇月四日、原、被告関係者らが訴外都市企画と本件土地売買契約を締結しようとして集まっていたところ、右都市企画側から、資金の融資元の強い要請により今回の取引は中止にしたい旨の連絡があり、結局、その日は、関係者らはそのまま解散したこと、被告らは、その後訴外住友商事における本件担当者である前記南条から、本件土地の所有権が正式に移転されたことを聞き知り、右南条の紹介に基づき、独自に新所有者訴外サムと交渉を重ね、当初、売却をためらっていた訴外サムとの間でやむを得ず売買代金を大幅に上乗せすることで合意に達し、結局代金総額一三億円で本件売買契約が締結されたことが認められる。

以上の事実を併せ考えると、本件売買の成立は、被告らが独自に訴外サムとの間で、まず売却意思の確認から交渉を開始し、その後も協議を重ねた結果によるものというべきであり、従前の原告清峰堂による訴外都市企画を売主、購入希望価格を坪当たり金二七〇〇万円とする仲介行為と本件売買の成立との間には大きな断絶があり、仮に原告ら主張のとおり売主や購入希望価格が本件仲介契約の要素ではなかったとしても、前記のような原告清峰堂の仲介行為によって本件売買契約が成立したものとは認めることができない。

また、原告らは、右所有権移転後も本件仲介契約は継続しており、原告清峰堂はそれ以後も被告らからの依頼に基づいて本件売買交渉に関与し、同年一〇月一四日には、訴外サムの事務所で被告らと共に訴外サムの代表者である前記訴外盛田と会見したほか、情報の提供や連絡等の重要な仲介行為を行った旨主張し、同原告の担当者である前記友田も同趣旨の供述をしているが、他方、証人南条、同盛田の各証言及び被告木元代表者尋問の結果中には、訴外サムとの本件売買には同原告は何ら直接の関与をしていない旨の供述があり、右各供述に照らせば、右証人友田の供述はにわかに措信しがたくまた、右友田が被告らと訴外サムとの交渉において、当初、一度だけ交渉の場に同席したことがあるとしても、少くともその重要な部分には何ら関与しておらず、結局、同原告は、代金交渉、契約条項検討等の、不動産仲介業者として通常期待される役割を全く果たしていないことは、前記証人盛田、同南条、及び被告木元代表者の各証言によっても明らかであり、その他原告らの前記主張事実を認めるに足る証拠はない。

したがって、原告ら主張の「仲介行為の継続」の合意は、本件仲介契約の更改であるのか、新たな仲介契約の締結であるのか、あるいはそれ以外の性質を有する法律行為であるのか必ずしも明らかでないが、仮に右のような合意があったとしても、その後原告清峰堂が行った行為と本件売買の成立の間には相当因果関係を認めることができないので、いずれにせよ原告の右主張は理由がない。

なお、原告らは、そもそも訴外都市企画から訴外サムへの本件土地の所有権移転は、売買価格をつり上げるための形式的仮装行為にすぎない旨主張するが、前記証人南条及び同盛田の各証言によれば、右両訴外会社は資金面において提携しているものの、法人としては全くの別会社であることが認められ、右所有権移転が単なる仮装にすぎないことを認めるに足る証拠はなく、また、仮に仮装行為が存在したとしても、右事実を被告らが認識していたとは認められない。

2. 次に原告主張の民法一三〇条の法意の類推適用の有無について検討する。

原告らは、被告らが故意に原告らの仲介による売買成立を妨害した旨主張するが、これを認めるに足る証拠はなく、本件においては、その交渉過程において本件土地の所有者が替わり、それによって交渉は再度全く最初の段階、すなわち売却意思の確認の段階からやり直さざるを得ない状況に陥ったこと、新所有者である訴外サムが売却を渋ったため、購入価格を坪当たり約金五八〇万円合計約二億三〇〇〇万円も上乗せせざるを得ず、被告らは結局、当初の予定と比べて大幅に不利な条件で売買契約を締結する結果となったことは、前記認定のとおりであり、また、そのような状況にありながらなお本件売買を成立させた動機としては、前記証人盛田及び被告木元代表者木元の各証言によれば、既に本件土地をその隣接地と一括して訴外東洋に転売する旨の取引について内諾が取り付けられており、右隣接地については昭和五八年一〇月三日に被告らにおいて所有権を取得済みであったため、たとえ高額でも本件土地を購入せざるを得なかったという事情も窺われる。

以上の事実を総合すれば、被告らが直接自らの手で本件売買を成立させたのは、決して原告らを排除して不当な利得を得ることをその目的としていたものではなく、売主の変更とそれに伴う購入価格の上昇という、被告らの責に帰さない予期せぬ事情が発生したため、これ以上、原告らを本件売買に関与させる義務も必要もないと考えて行われたやむを得ない措置であったものと認めることができる。

右事実によれば、被告らが本件売買を原告らを介在させることなく直接成立させたとしても、それは合理的理由に基づくものと認められ、取引の信義、ひいては民法一三〇条の法意に何ら反するものではないというべきである。

よって、その余の点について判断するまでもなく、原告清峰堂の被告木元に対する請求は理由がない。

三、結論

したがって、原告らの被告らに対する本訴各請求は、結局いずれも失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条本文を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥山興悦 裁判官 福田剛久 菅野雅之)

<以下省略>

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